海上に浮かべたコカインを密輸 英ギャングが回収、巧妙化する密輸手口

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イギリスにおけるコカイン密輸がますます巧妙化しており、南米の麻薬組織が英国近海にコカインを浮かべて投下し、それを英国の小型ボートが回収して上陸させるという手法が広がっている。
英ボーダーフォースによると、追跡装置付きの浮力装置に包まれた麻薬が、英国の犯罪組織と連携して海上で回収されているとのことだ。
この「ASDO(At Sea Drop Off)」と呼ばれる手口は、近年イギリス周辺で複数トン規模のコカイン押収につながっており、重大かつ継続的な脅威とされている。
母船(マザーシップ)と呼ばれる大型船が南米からコカインを運び、英領海に入ると衛星電話を用いて連絡を取り合い、指定の海域で麻薬を海中に投下。
その後、小型の子船(ドーターシップ)が回収して英国に密輸するという仕組みだ。
2023年9月には、スコリー諸島付近で1トンものコカイン(末端価格1億ポンド相当)を回収しようとした4人の英国人が逮捕され、現在起訴中。
彼らは「リリー・ローラ号」に乗船しており、南米のギャングの指示で現地に向かったとされている。
5月8日に判決が下される予定だ。
このような事態に対応するため、ボーダーフォースは沿岸警備艇の配備を強化し、訓練された麻薬探知犬を導入。

1月には、南米からの船に積まれていたバナナの中に隠されたコカイン(約5,000万ポンド相当)を、探知犬の「フラッシュ」が発見した。
麻薬は30キロ単位のブロックに分けられ、浮力を持つライフジャケットに包まれていた。
その他にも、2023年10月にはワイト島沿岸にコカインの包みが漂着、同年にはドーセット州のダードル・ドアやウエスト・サセックス州ゴーリングでも発見されている。
2024年6月には、サフォーク沖でインフレータブルボートが摘発され、密輸犯2人が逃走しようと海に飛び込むも逮捕された。
依存症治療の専門家であるアダム・ウィンストック教授は、過去5年間でコカインの純度や価格がほとんど変わっていないことから、密輸業者は全体の20%を押収されても十分に利益を得られると指摘。
2024年には過去最多の押収量が記録されたにもかかわらず、コカイン関連の死亡者数は2023年に1,118人と過去30年で最多となっている(2011年の10倍)。
リリー・ローラ事件の捜査を主導したNCA(国家犯罪庁)のデレク・エバンス氏は、漁業や海運業に従事する人々に対し、「犯罪組織から接触されたら警察に通報してください。
関わろうと考える前に、代償の大きさを思い出してほしい」と警鐘を鳴らしている。