イタリアの伝説的ファッションブランド「ヴェルサーチ」のクリエイティブ・ディレクターであるドナテラ・ヴェルサーチが、約30年の歴史に幕を下ろすことを発表した。
1997年に兄ジャンニ・ヴェルサーチの悲劇的な死を受け、ブランドの舵を取って以来、彼女はヴェルサーチの象徴的なスタイルを確立し、世界的な影響力を拡大してきた。
ドナテラは、ファッションの枠を超え、ホテルや自動車のデザインにも進出し、そのカリスマ的なセンスで業界をリードしてきた。
マドンナ、ビヨンセ、レディー・ガガなどのセレブリティを輝かせた彼女のデザインは、ポップカルチャーに深い影響を与えている。
特に、2000年にジェニファー・ロペスのためにデザインしたグリーンのジャングルドレスは伝説となり、Google画像検索の誕生を促した一因ともなった。
ヴェルサーチの退任は、現在の親会社であるカプリ・ホールディングスがプラダ・グループに売却される可能性があるという憶測が飛び交う中で発表された。
後任には、ミュウミュウの元デザインディレクターであるダリオ・ヴィターレが就任し、新たなヴェルサーチの時代を担うことになる。
「兄の遺志を継ぎ、ヴェルサーチをここまで育ててきたことは、私の人生最大の誇りです」と語るドナテラ。
カプリ・ホールディングスも彼女の功績を称え、今後はブランドアンバサダーとして活動しながら慈善事業に専念することを発表した。
1978年にミラノで創設されたヴェルサーチは、常に大胆で華やかなデザインを特徴としてきた。
ドナテラの退任は、ブランドにとって大きな転換点となるだろう。
ファッション業界では、名門ブランドが次々と大企業に買収される現象が続いている。
この流れは創造性の衰退を招くのか、それとも新たな革新の時代をもたらすのか、今後の動向が注目される。