トランプ再登場で英国に広がる不安定 確実なのは「不確実さ」だけ

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「世界は変わった」——英国の財務相がそう述べた直後、本当に世界は再び動いた。
この言葉は、最近のウェストミンスターで頻繁に聞かれるようになったフレーズであり、レイチェル・リーブス財務相が春の経済報告で発表した優先順位の変更と歳出削減の背景にもなっている。
政府関係者が「世界が変わった」と語る時、その背後にはドナルド・トランプのホワイトハウス復帰がある。
彼の再登場により、何が起こるかを予測するのが極めて困難になったのだ。
その最新の一例が、米国が全ての輸入自動車に対し25%の関税を課すというトランプ氏の発表である。
英自動車製造業者・販売業者協会によると、米国はEUに次いで英国の第二の自動車輸出先であり、この政策は英国経済に大きな打撃となる可能性がある。
トランプ政権2期目が始まって2か月余り、英国政府は控えめな戦略を取ってきた。
公の場での発言を控え、怒りを買うリスクを避けるために、裏で静かに交渉を進めている。

その一環として、米英間の貿易協定に向けた協議が進行中であり、これがトランプ政権の突発的な政策からの防波堤となることを期待している。
しかし、今や「不確実性こそが新たな常態」となっており、政府は多くのリソースをトランプの次の一手を予測し、その影響を最小限に抑えるために費やしている。
英国家予算責任局(OBR)は最新の経済見通しで、米国の新政権誕生後、米国および主要貿易相手国の貿易政策は「流動的な状況が続いている」と指摘している。
OBRは20%の関税引き上げを前提とした複数のシナリオを分析し、そのうち英国を含む各国が報復関税を導入するケースでは、財政余力がほぼ完全に失われると警鐘を鳴らしている。
こうした中、トランプ氏が「解放の日(Liberation Day)」と称する新たな関税措置が数日後に予定されており、英国政府内には緊張感が広がっている。
リーブス財務相はBBCに対し、「自動車、鉄鋼などを含むあらゆる関税について米国と集中的な交渉を行っている」と述べ、「貿易戦争には入りたくない」と強調した。
トランプ再登場後の世界で、英国の政策はこれまで以上に柔軟性と外交的バランスが求められる。
予測可能な時代は終わり、不確実性が唯一の確実な要素となった。