トランプ氏、VOA閉鎖を指示 言論の自由に懸念の声

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米国のドナルド・トランプ大統領は、連邦政府が資金提供する報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の閉鎖を指示する大統領令に署名し、同メディアを「反トランプ的で過激」と非難した。
この決定は、VOAの親会社である「米国グローバル・メディア局(USAGM)」の資金を打ち切るものであり、報道の自由や外交政策の専門家から強い批判を浴びている。
1942年にナチスのプロパガンダに対抗するために設立されたVOAは、現在、全世界で週4億人以上のリスナーに向けて情報を発信している。
VOAのマイク・アブラモウィッツ局長は、大統領令の発表後、約1300人の職員が一時休職となり、同局の「誤情報に対抗するという重要な使命を果たすことができなくなった」と述べた。
全米報道クラブ(National Press Club)は、この決定を「米国の長年にわたる自由で独立した報道の原則を損なうもの」として強く批判。
専門家の間では、トランプ氏が政府系メディアを統制する動きを強める一方、ホームレス支援や博物館・図書館への資金を削減するなど、幅広い分野で影響を与えていると懸念されている。

また、VOAの閉鎖は、冷戦時代に共産主義に対抗するために設立された「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」や「ラジオ・フリー・アジア」などにも影響を及ぼしている。
これらの放送局の資金も即時停止され、将来の運営が不透明な状況に陥っている。
チェコ共和国のヤン・リパフスキー外相は、欧州連合(EU)がプラハでの「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」の継続を支援する可能性があると示唆した。
さらに、億万長者でトランプの顧問でもあるイーロン・マスク氏は、自身のSNSプラットフォーム「X」でVOAの閉鎖を支持する投稿を行った。
一方、トランプ氏は主流メディアへの批判を強め、CNNやMSNBCを「腐敗している」と非難し、USAGMの特別顧問として側近のカリ・レイク氏を任命した。
VOAの閉鎖により、米国のジャーナリズムの独立性を象徴する機関が消滅することになり、報道の自由に対する懸念が高まっている。