テスラCEOのイーロン・マスク氏は、米大統領ドナルド・トランプ氏との関係が良好で、連邦政府の効率化部門の責任者として政権の小型化に協力しているが、その政治的発言が一部の米国市民の反発を招いており、テスラの経営にも影響が出ていると報じられている。
CNNによると、中古車取引サイト「Cars.com」の最新データでは、中古テスラの検索数が16%減少した一方で、他社製中古EVの検索数は28%増加したという。
特にテスラ「Cybertruck」の価格下落が顕著で、CarGurusのデータでは、新車価格から58%も値下がりしている。
複数のテスラオーナーは、マスク氏の言動に対する不満や、テスラ購入に対する後悔を表明している。
カリフォルニア州北部のパム・パーキンス氏は「誰かが適正な価格で買ってくれるなら、すぐにでもこのテスラを売りたい」と語り、オハイオ州のジェニファー・トレブ氏は「Model Yを見るたびに、マスク氏が私の倫理観や信念と相容れない役割を政府内で果たしていることを思い出してしまう」と述べている。
ロイター通信が引用したEdmunds.comのデータによれば、2023年3月15日時点でテスラ車の買い替え率は前年の0.4%から1.4%へと大幅に増加。
エドマンズの責任者ジェシカ・コールドウェル氏は、価格下落や都市部でのEV市場の飽和、そしてマスク氏への反感など、複合的な要因が中古テスラ価格に影響を与えていると分析した。
南カリフォルニア大学のマーケティング学助教授アイク・シルバー氏は「マスク氏やテスラに対する社会的反発は強まっているが、一方で保守派の支持は拡大している」と指摘。
「テスラは、離れていくリベラル層の代わりに保守派の新規顧客をいかに獲得できるかが鍵となる」と述べた。
Cars.comのアナリスト、デイビッド・グリーン氏は、政治的要素以外に競合メーカーの影響も無視できないと指摘。
2月には同サイトに登録された中古EVが76台に達し、前年より18台増加しているという。
また、米国内のEVの約70%がリース会社によって所有されており、今後リース会社が保有車を大量に市場に放出することで、中古EV市場の価格下落が加速する可能性があるとした。
かつてブランドの象徴だったマスク氏の存在が、今やテスラのリスク要因として浮上してきている。