アメリカのトランプ前大統領が再びヨーロッパ各国に対し「自国の防衛費を増やせ」と強く要求する中、EU加盟国のトップたちが6日に緊急会議を開催し、軍事計画について本格的に協議することが決定した。EUは、史上最大規模となる8000億ユーロ、日本円で127兆円もの巨額の軍事予算を用意し、兵器の増強や防衛能力の強化を図る計画を進めている。これにより、EU各国がより柔軟に軍備拡張へ踏み切れるよう、資金供与や規制緩和といった新たな施策も検討されている。
軍拡の流れが加速する背景には、ロシアのウクライナ侵攻や世界情勢の不安定化がある。今回の会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加予定であり、ウクライナ戦争の継続的な支援や、西側諸国の防衛力強化が主要議題となる見込みだ。EUがここまで大規模な軍事計画を推進するのは異例であり、これは単なる防衛強化を超え、軍事的自立を目指す動きとも受け取れる。
専門家は、この動きを「EUの歴史的転換点」と分析している。これまでEUは経済・貿易の統合に重点を置き、軍事面ではNATOに依存する姿勢を貫いてきた。しかし、ロシアの侵攻によってNATO加盟国だけでは安全が確保できないという危機感が高まり、EU独自の軍事力強化が不可避となっている。特に、アメリカが国際安全保障における関与を弱める可能性がある中、EUが自前の防衛力を持つことは、世界の軍事バランスを大きく変える可能性がある。今後、この巨額の軍事予算がどのように分配され、各国の軍事戦略にどう影響するのか、国際社会の目がEUに注がれている。.